有痛性三角骨とは?
アキレス腱の奥に骨の突起(三角骨)があり、足首を下に曲げたとき(底屈したとき)に挟まれて痛みが発生するものを有痛性三角骨と言います。
三角骨は、本来であれば骨の成長とともに距骨という足首の骨の一部となるものですが、骨が癒合せずに分離したままで成長する場合もあり、通常であれば無症状のことが多いです。

足首の捻挫を発端に痛みが発生することがありますが、捻挫の初期は靭帯損傷の痛みが強すぎて三角骨部分の痛みが明らかでないこともあります。
また、繰り返しの衝撃(ランニング、バスケやバレーのジャンプ動作)によって徐々に痛みが強くなってくる場合もあります。
どういった場合に起こるのか
症例
サッカーで足首の内反捻挫となり、その後、ジョギングを開始したころから足首に痛みを自覚する。
軽いジョギングは可能であるが、早く走ろうとすると足首後方(アキレス腱の奥)に痛みが生じた。
ボールのキック時にも足首の底屈時に足首後方に強い痛みがあった。
X線の画像所見により、距骨後方に三角骨を認めた。
以上の理学所見とX線所見から、捻挫により明らかとなった有痛性三角骨障害と診断した。
有痛性三角骨の症状と経過
・足首ねんざを契機に痛みが発生することがある
・足首を下に曲げると足首の後方で痛みを生じるのが特徴
・サッカー選手ではインステップキックで痛みを訴える

・つま先立ちが不可能となった場合は重症と判断する
・症状が強い場合でも注射治療で多くは改善する
・症状が繰り返す場合は手術により三角骨を摘出する場合がある
まとめ
足首ねんざはどのスポーツでも発生する可能性があります。
サッカーでは長友選手、野球では大谷選手も有痛性三角骨を発症したことがあるそうです。
三角骨が存在することが痛みが出てくる原因になりえますが、発症率は10%前後とそこまで多くはないようです。
しかし、発生率が低いということは見逃してしまう可能性もあるということ。
実際に、足首ねんざの治療のみを行い捻挫は治ったが走ったりするとまだ痛いということで病院へ行き、有痛性三角骨と診断されるケースも少なくないようです。
治療者側はねんざだけの頭にならないこと、指導者や保護者の方は選手の早期復帰のためにもきちんと病院へ連れていくことが大事です。